看護師が患者さんへ声かけする重要な目的は、患者さんの情報を得ることだ。
患者情報はカルテからだけではなく、実際に会話してみて分かることが多い。
患者さんの状態、体調、気分などは、その日によって変わることがある。声かけしなければ、患者さんの状態が分からない。声かけには信頼関係を築くという目的もある。通常、自分に関心がない人と信頼関係を築くことは不可能だ。看護師が、患者さんに関心を払っている、気遣っているという姿勢を見せることで、信頼してもらえるようになるだろう。
患者さんの痛みを軽減したり、不安を和らげるのも声かけの目的である。
病気にかかると誰しも不安なものだ。看護師から優しく声をかけてもらって、気がまぎれた、安心できたという経験をする人は少なくないだろう。声かけによって痛みや苦痛すらも和らぐことがある。相手の気持ちに寄り添った、ちょっとした一言で、人を癒すこともできるのだと心得たい。
声かけによって、患者に心の準備をさせることもできる。
初めて検査や手術、あるいは処置を受ける時、患者さんは不安なものだ。誰でも未知の経験をする時、多かれ少なかれ不安に感じるものだが、処置や手術、検査など身体に不快な事柄をされる場合は特にそうだろう。これからどんな検査をするのか、どんな手順で処置をするのかなど、情報を伝えることで患者さんは心の準備をすることができ、安心できる。
看護師の声かけは、ただの業務ではなく、患者さんにとって大きな意味があるのだ。